July 26, 2004

コールハース ドキュメント

建築 ,

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行動主義—レム・コールハース ドキュメント(瀧口範子 著、2004、TOTO出版)を読む。

おもろい事を思いついたものだ。コールハースの追っかけをやるなんて。
そりゃもう、みんな気になってるんだ。ここ何十年の建築界をリードし、建築家界に多大なる影響と敬意と混乱なんかを与え続けてきた革新的建築家が何を考え、日々どういう生活をして、どのように仕事をしているのか。そしてどのような背景であの魅力的な建築がつくられていくのか。この本はそれを「追っかける」という手法をもっていて明らかにしようとしている本だ。

序盤はホントに「コールハース追っかけ記」といっていいほど、淡々と事実が記述されている。コールハースの行動の軌跡や、コールハースとのアポイントのとれなさ具合、そのアポイントすらすっぽかされる様、著者とコールハースとの会話なんかから、コールハースという人がだんだん浮かびあがってくる。多忙さや勢い、好奇心、饒舌、批評...コールハースを語るキーワードは山ほど出てくる。

後半はインタビュー編となっており、コールハースへのインタビューの他、周辺の人々へのインタビューが載っている(伊東豊雄やセシル・バルモンド等)。著者が周辺の人々に聞くことでコールハースを明らかにできると思いつくのは至って自然な思考である。それほど多くの人とコラボレートしている。

コールハースの人としての一番の特徴はどうやら「浸食」なんじゃないかと思われる。世界中を飛び回り、有能な人々をどんどん巻き込み、建築だけでなく雑誌等のメディアや政治、AMOの設立など、その興味はどんどん外へ外へ広がって行く。凝り固まった建築界を抜け出してより社会的なフィールドで戦っているという感じか。そのための武器としての「ダイアグラム」というツール。饒舌。バイタリティ。

この本の意義もそこにあると思われる。つまり建築家たちはコールハースの建築的な特徴ばかりに目を捕われず、その背景にこそ刺激を受けるのであり、その背景を描き出したモノは未だなかったからである。またそれでいて建築家だけでなく、すべての人に刺激を与える本である事は間違いない。

投稿者 muro : July 26, 2004 05:59 PM | トラックバック(0)
コメント

読んだよ。行動主義。事務所内で読んだ人から半額で買った。
バイタリティ溢れる人だよね〜。ムロ文章うまいね

Posted by: mackony : July 30, 2004 06:36 PM

この本読む限り超人。

Posted by: muro : July 31, 2004 09:47 AM
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