August 31, 2004

モエレ沼公園


モエレ沼公園 (設計: イサムノグチ<マスタープラン>/アーキテクト5、竣工:2003)

あいにくの天気の中、モエレ沼公園に行ってきました。学会期間中ということもあって建築関係者と思われる人達がいっぱい。

彫刻家イサム・ノグチのラスト作品。ノグチはこのマスタープランを完成した三ヶ月後に急死してしまった。
沼に囲まれた水郷公園で、元ゴミ埋め立て地らしいです。広さは1km×1.8kmとか。とにかくデカ過ぎです。そのデカイ敷地に彫刻やらプールやら山やら施設やらがちりばめられている。あとはほとんど芝生。ものすごい量の余白。
この公園のポイントはやっぱりその余白で、こんなに大量の余白を目の前にしたことがない。
携帯写真なので全然ダメだけど、山の高さが50mとか。その山まで500mぐらい?とかそんなスケール。

公園内にある彫刻、遊具もかわいいッス。どう遊ぶのか一見わからないけどどう遊ぶかを発見していく楽しさ、自由さをもった遊具たち。そんな彫刻たちと同じように、「公園全体がひとつの彫刻」というコンセプトとあるように公園自体も、道はあるけども自由に芝生の上を歩いて行きたいところに行ける楽しさ、自由さを持っていると感じた。

モエレ沼公園、萌えーw

渡辺淳一文学館


渡辺淳一文学館 (設計:安藤忠雄建築設計事務所、竣工:1998)

札幌ついでに安藤忠雄設計の渡辺淳一文学館へ。
行くまで知らんかったけど、失楽園とか書いた人らしい。
コンクリキレイ。つるつる。吹き抜け一面の木の書棚がとてもいい感じ。
中央にある半透明スクリーンはおそらく本の劣化を防ぐための日除け。
なのでたぶん真南を向いていて、建物の直交方向とはズレた角度で配置されている。(たぶん)
HPをみると、アンタダいわく、
「真っ白な雪の中で白鳥が片脚を上げて立っているようなイメージ」
ってあるんですけど、なんですかそれ。さすが巨匠は言う事がちがう。
こういう「なんとかのイメージ」みたいなコメントがすごくキモイと感じるのは世代の違いだろうか。

August 18, 2004

ガラスシャッター

盆帰省ついでに坂茂建築設計のジーシー名古屋営業所を観てきました。大学時代の通学路にできちゃってた。

全面ガラスがシャッターになっていて、開けようと思えば全開しちゃうという代物。なんだか坂さんらしい大胆な構成で好きだけども、ほんとにシャッター開ける時あるのかな?
ジーシーっていうのは歯関係の会社らしく、近くに愛知学院の歯学部があって、そこの人達に解放されている部分もあるみたい。そういう解放の象徴?みたいな感じなのかね?ガラスシャッターは。
それより上の方の丸いポッチ達は何?意味わからんし、20世紀感漂う感じ。非常用の赤三角マークが貼付けられてるのが笑えた。
(参考:新建築

んで帰省を終えて東京に戻ってきてコレ。住んでる近くにある同坂茂設計のガラスシャッターのスタジオ。ま、シリーズものですな。
そういうどこにでも自分のボキャブラリーだけでつくっちゃう姿勢ってのはどうなんだろう?と考えてみる。どこにでもコンクリ打ち放しを建てたアンタダしかり。建築家のエゴともとれるし、それだけ土地土地での建築条件の違いがそもそもないとも考えられる。もしくはどの地域でも同じような問題を抱えているってことなのかな。よくわかんないけども。

ちなみにこのスタジオのシャッターが開いてるところは見た事ありませんw

(参考:新建築

May 01, 2004

上野

巨匠建築の宝庫、上野へ。

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国際こども図書館:安藤忠雄設計(2002)
明治期のルネサンス様式の洋風建築を保存・再生したもの。ガラスのヴォリュームが挿入されている。写真はその増築部分。ガラスと洋風建築、新・旧のせめぎ合いといった感じで、天井が高く、かなり気持ちのいい空間。

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東京国立博物館法隆寺宝物館:谷口吉生設計(1999)
身振りの大きい建物で、水盤や光の具合などとても上品で気持ちがいい。展示室内も薄暗いなかに展示物がぼんやりと照らされていてすごくいい。いかにもわたしが谷口吉生ですといった感じのマスターピース。

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東京文化会館:前川國男設計(1961)
角がラウンドされた屋根が特徴的な建物。50年も前の建物なのにカコイイぜ。でもモジュールというかモデュロールというか空間の大きさが妙に日常的というかなじむ。その点で前の宝物館とは印象が大分異なる。

国立西洋美術館:ル・コルビジェ(1957)
日本唯一のコルビジェ作品。でも実施設計は、前川國男と坂倉準三と吉坂隆正のコルビジェ3兄弟がやったんだよね確か。そのせいかもしれないけど、共通言語であるモデュロールが用いられているためか、東京文化会館とスケールが似ている。天井高とか。言い換えれば空間の質が似てる。単に同時代っていうだけかもしんないけど。

他にも、東京都美術館(前川國男)、東京藝術大学大学院美術館(六角鬼丈)、東京国立博物館東洋館(谷口吉郎)などなど、上野は建築もりだくさんでした。

April 04, 2004

建築家頂上決戦in表参道

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最近建築家がこぞってショップ建てまくってる表参道へいきますた。
左から、ディオール/妹島和世、ルイヴィトン/青木淳、プラダ/H&M、ONE表参道/隈研吾、ギャルソン/future systems
携帯で撮ってみたが汚いねやっぱし。ディオールの写真なんてパース効きすぎだし。
感想としては、ディオールは角が綺麗。ヴィトンはファサードにもっとボックス毎の違いがあった方がよかったのでは?プラダかっこよすぎ。最高。ONE表参道は...よくわからん。地味に好きなのがギャルソン。これだけちょと昔で、これだけインテリアだけど、空間体験としては一番おもしろい。
安藤さんの同潤会アパートの改築が始まっていたり、伊東豊雄さんのトッズも建つ予定らしい。写真ないけど黒川紀章の変な建物もあったり。なんだか建築祭り状態表参道。

February 29, 2004

サントリーミュージアム天保山

ふと、サントリーミュージアム天保山に行きますた。設計:安藤忠雄建築研究所。「アンタダ」らしい幾何学的な形態の建物(写真中央ね)。コーンが逆さまに地面につきささったような感じ。写真は大阪港の方から撮ったのをつないだもの。この写真では伝えづらいけども、この建物の特徴はなんと言ってもアンタダお得意のロケーションの読み方かと思われる。大阪港に向けて景色が開くように全面ガラス張りの所があったり、港に向けてヴォリュ−ムがドーンと張り出してみたり。海沿いの美術館として悪くない。
いつものことだけど、アンタダ建物は結局のところ、幾何学形態、ロケーション、コンクリート打放しという3原則に集約されるものが多く、これも例外ではない。
というわけで結局何が言いたいかというと、アンタダの建物はあまり好きではないのです。意外にもその脇にある海遊館(左)とかホテルシーガル(右)が気になる存在だったりして。

February 20, 2004

中国木材名古屋センター

連続建築めぐりシリーズ第4弾は、福島・富永建築設計事務所設計の中国木材名古屋センターです。

福島さん富永さん完成おめでとうございます。
実は福島さんは、ちょっと前に伊東豊雄建築設計事務所を辞められて独立なさった方で、実はオレがオープンデスク(タダ働き)に行ってた時に、お世話になった人でもあるのです。その福島さんと富永さんが1年半前ぐらいにあったコンペを取ったのがこの中国木材で、実は別の事務所でオレもそのコンペの手伝いをしてたというなんだか縁深い建物なのです。それが完成したというので早速いってきました。

 
外観。この建物は、中国木材の材木を使って、オフィス兼ショールームを計画するというもの。住宅スケールの木材を使って3つの構造が提案されていて、外観にもそれが表れている。左のアーチは、木材をワイヤーで連結した逆アーチの大屋根、右2Fのボックス状のがフレームで構成される空間、その下が、木材を積層した壁、となっている。そしてその間の凹んでいるところがRC造のサービスコアで、防火区画ともなっているそう。それぞれ違う表情をもちつつ全体性を失っていない。


なんといってもいいのが、逆アーチ状の大空間。みたことないおもしろ空間。ここはオフィスでもあり、同時に自社の木材をPRするショールームでもあるとのこと。写真は全体をみるためにコラージュしてみました。右上のブラインドの奥に喫煙所の人たちが見えたり。


 

左写真が木材を積層した壁。光りがもれるのが素敵。でもなんだかコレは施工が悪かったw
右がパーティション。おもしろいパターンで、影が木漏れ日のようになっている。他にもテーブルとかもこのパターンでつくられていた。

全体としてはコンセプトが明解に出てて、さらに木材による新しい空間が提案されているという点でいい建物でした。木材港のあたりにあるので、あまり人目につかないのがもったいない。
上のリンクから設計のコンセプトとか施工途中の写真とか見れます。3月の新建築と日経アーキに載るそうなのでそっちも要チェキ。


PS : 先方に何の連絡もせずいきなり押しかけてしまったため大変御迷惑をおかけしました。すいませんでした。先方の配慮で一応見学することができましたが、もし行く人は必ずあらかじめ連絡入れましょう。連絡したら見学できるって訳でも無いかもしれんけど。

ロトンダ

連続建築めぐりシリーズ第3弾は、横浜の国1沿いで偶然見つけた山本理顕氏設計の「ロトンダ」。店鋪、貸し事務所、住居等が入った雑居ビル。氏のHPいわく、

「(前略)〜 前面の巨大な道路は国道一号である。こうした巨大な道路のすぐ傍らに住む、それがこの雑居の形式を選ばせているのだと思う。この雑居の仕方以外に住む、その住み方が思い浮かばないのである。これが一般解なのだ。多分。  (建築文化1986.09より抜粋)」

との事。
中身はどうあれ外観からの印象は、いい意味でも悪い意味でも、「ハマり過ぎ」。
コンクリートと鉄骨により、工業的で雑居(雑多?)な感じがいいとも言えるし、
逆に無気味で綺麗じゃないとも言える。
でもやっぱりRC打ち放しの外観は、15年以上経っているせいかどうも汚い。
やはり何年経ってもいい建物、できれば年月の経過により良くなる建物を設計したいものだ。
それとは関係なく、屋根の下の空間には住んでみたい。なんか楽しそう。

February 18, 2004

みなとみらい線各駅

連続建築めぐりシリーズ第二弾は、最近開通した、横浜〜元町・中華街という横浜みなとみらい周辺のスーパー観光スポッツを巡るみなとみらい線(通称MM線)沿線の駅です。
それぞれ建築家が設計していて、個性的な駅どもでした。

まず横浜の次の駅になる「新高島」。設計は山下昌彦+UG都市建築
左1)ホームはこんな感じ。エスカレーターの上のフレームが印象的&不可解。エスカレーターの落下防止と防煙区画を兼ねているそう。
左2)改札から出口までの通路。黄色い丸く切り取られているのは、泡のイメージなんだそうな。
左3)こういうところは好きだったりする。
左4)各駅、各建築家がベンチも設計しているらしいのですが、これはイマイチ。ようわからんし座りずらい。
全体の雰囲気としてはsonyがちょっと前に出した携帯っぽい、濃い灰色とシルバーで、クールな感じに仕上げている。



つづいては「みなとみらい」駅。設計は早川邦彦建築研究室
左の3枚)ここが意外にも最もよかった。なんといっても地下鉄のホームに吹き抜けが!!そしてクイーンズスクエア横浜の吹き抜けとつながり、なんとも新鮮な空間が。赤いエスカレーターもチュミが昔描いてたドローイングっぽくていいですな。
左4)そしてけっこうメディアに取り上げられてるコンコース。なんだか映像作品がプロジェクションされてるけど、なんかよくわかんなかった。(じっくり見たわけではないですけど)
左5)家具コレ。あんまり。
写真ないけど、ここは赤、青、黄色といった原色がポイントポイントでふんだんに使われているのだがどうも苦手でした。好みによってはいい空間かも。

お次は、「馬車道」駅。設計:内藤廣+内藤廣建築設計事務所
実はあまり写真とってません。あとの参考HPとかで見て。
テーマが「過去と未来の融合」らしいんですけど、あまりにストレートなんじゃないかと思ってしまう。ドームやレンガは意外といいと思うんだけど、なんかなぁ。駅と博物館がくっついちゃった感じで、おもしろくない。
でもここのベンチは最高カコイイ!!透明アクリルを曲げただけのシンプルなもの。割と太めなのもけっこう好き。人が座るとさらにいい。人が浮いてるようにも見えたり見えなかったり。

そして4つめが「日本大通り」駅。設計:鉄道建設・運輸施設整備支援機構
ここはホントどうしちゃったの?という感じなので写真もコメントもなんも無し。

そして最後が「元町・中華街」駅。設計:伊東豊雄建築設計事務所
左1.2)ここはなんと言っても白い!いきすぎた清潔感。そしてメインはホームの大空間で、改札からエスカレータで降りてくる時、一度黒くて狭い空間に入れておきながら、一気に白い大空間が目の前に広がる、というある種古典的シークエンスでありながらも、これが実はなかなか良くて、少し感動的な空間体験。
左3)壁面のタイルには、歴史的なイメージが「焼きつけ」られている。写真ではわかんないけど、このイメージはドットによって、近くではぼやけて、遠くでははっきりと見えるようになっている。
左4)まぁこれは、伊東氏らしいというか、なんというか。
実は伊東事務所にオープンハウス(タダ働き)に行ってたことがあって、その時これの計画案の段階を少し見てました。あの時はヤバいんじゃないかコレとか密かに思ってたんですけど(すいません)、できてみるとそんなに悪く無い。特に白さが。

全体的な感想としては、こういう公共空間を建築家が手掛けるというのはすごくいいことだということ。たとえそれがオレみたいなバカ建築学生や批評家や他の建築家からみたら、多少残念で物足りないものだったとしても、いままでのどうしようもないデザインに比べればどれだけ有効で、どれだけ豊かで、どれだけ楽しいものかというのは図り知れないものがあるのではなかろうか。

参考:http://allabout.co.jp/travel/travelyokohama/closeup/CU20040113/index.htm
   http://www.kanshin.com/index.php3?mode=keyword&id=402915

February 17, 2004

キャナルコート東雲

東京行ったついでにキャナルコート東雲へ。てっきり完成しとるもんだと思いきや全6街区のうち2つしかできてなかった。


左)山本理顕棟外観。右)内側から。ポコポコあいた穴とストライプの派手カラーが印象的。建物内部外者立ち入り禁止だったので中は見れず。住戸や穴の様子を見てみたかった。


こっちが伊東豊雄棟。同じように穴がポコポコ。ファサードの印象は山本棟にくらべ重厚な感じ。



1)全6街区をつなぐ「パス」。2)人工地盤の穴。3)2Fレベルの人工地盤。
建物もさることながら、このパスと人工地盤、また人工地盤にあけられた穴から1Fの幼稚園とかの様子がみえるのがすごくいい感じ。こういう共有部分のつくり方はけっこう好き。


他はまだ工事中でした。残念。これがたぶん隈研吾棟。

それにしても全然いい写真とれてないなぁ。
もっと気合い入れて撮らないとダメだな。しまった。

January 27, 2004

箱の家83

先日愛知県では珍しく建築家の住宅作品のオープンハウスがあるというので、難波和彦+界工作舎設計の「箱の家83」を見に岩倉市まで行こうと思って男4人で車にのって41号線を走っていたら日曜日だったせいかものすごく渋滞していたので気付いたらマン喫にいました。オムライスプレートを注文。おもろいなぁアグネス仮面。オープンハウスが終わってるであろう頃に店を出る。いい建物だったねとか言いながら。ホントダメ人間です。やっちった−と思ったけどここのレビュー読んでとりあえず満足。あー行きたかったなぁ。

余談だけど難波和彦+界工作舎のサイトで公開されている難波和彦さんの日記がすごすぎです。その日したこととか読んだ本とかすごく丁寧に書いてある。著名建築家がここまで丁寧に日記を書いているサイトは他にない。まちがいなく今の自分にとって一番速効性のある日記サイトだろう。

January 12, 2004

新建築〜名大編〜


 
今日ふと思い立って、大学に行くついでに名大の飯田喜彦氏設計の新建築物をみてきやした。
テっきり完成しとるもんだと思いきやまだ工事中で中には入れず。
なんだか不思議な建物でした。ボッコンボッコン飛び出てるのはキャンチ控えめなものの、どうしてもグッとくるけどもその他は特筆すべきことは無し。4面のファサードがそれぞれ違う表情でつくられている。正面の文字ファサードがなんか気持ち悪い。不思議な建物と書いたのはどうして大学の1建物のファサードがこんなにshopっぽいのか?ということ。別に道に面してるわけじゃないのに。構内の奥の方にあるのに。まぁ道に面してても変だけど。
名大の人々はこの建物をどう思っているのだろう。